Vol.1 社会福祉法人翔の会様

社会福祉法人翔の会 総合施設長 斎藤志津加 様(写真左)
株式会社湘南ビジネスマネジメント 代表取締役 野田周吾(写真右)
対談の様子

ゼロから一緒に、いい仕事を

翔の会の斎藤さんは、野田が湘南ビジネスマネジメントの社長になる前からお付き合いをしていただいているお客様。総合施設長という役職で、翔の会の経営に関する実質的な責任者です。決算書の読めない職員たちに数字を「楽しく」説明してほしい、というのが最初のお願いでした。いつもはじける笑顔で、斬新でワクワクしてしまうような依頼をしてくださり、職員さんだけではなく私たちまでをも引っ張ってくれいているパワフルな斎藤さん。今回は、斎藤さんと野田の二人で、今まで一緒に歩んできた10年間を振り返ってみました。

【社会福祉法人翔の会とは?】
神奈川県茅ヶ崎市・寒川町を基本的な地域エリアとして、障がい児・者、高齢者、乳幼児を対象に50以上の事業を展開。利用者の皆さんの「地域の中で暮らしたい!」という願いを大切に受け止め、総合的な福祉サービスを提供しています。
http://syonokai.jp
2人の出会い
野田:はじめて翔の会さんを訪れたのは2007年でした。もうすぐ丸10年になりますね。

斎藤:本当に長い間ありがとうございます。よくぞ付き合ってくれましたね。

野田:とんでもないです。こちらこそありがとうございます。

斎藤:あの時の私は、ある会計システムを導入したくて、そこで紹介してもらった会計事務所に野田さんがいたのよね。

野田:そうですね。あの時の私は、やっと会計の仕事をある程度覚えたくらいの頃で、それでも力になりたくて、ドキドキしながらお伺いした感じでした。

斎藤:そこで、野田さんに一つお願いをして、それに対して野田さんができる、できないではなく、「わかりました。」って言ってくれたので、「あ、心強い。」と思い、一緒に仕事をすることを決めました。
数字の世界に「楽しさ」を
斎藤:当時、職員たちは数字がどう処理されているかわからなくて、決算書を他人事のように置き去りにしていたんです。そうではなく、自分たちが動かしているお金の状況を理解して欲しかった。だから、まずは職員各自が入出金を入力できる会計システムを導入しようと思いました。
その時に来てくれたのが野田さん。「職員が『楽しく』数字を見れるようにして欲しい。」ってお願いしました。そのために、「翌月には数字が見えるようにして欲しい。」ともお願いしました。無謀なことだって分かっていたんですけどね。でも、それが実現できたら素敵だなって思ったんです。前月のことだったら、現場で何があったか覚えているので、その記憶と数字が結びついていきやすいじゃないですか。野田さんが心強く「わかりました。」って言ってくれたのは、その時でした。

野田:翔の会さんは規模も大きく、1ヶ月の取引が数千件になるので、大変でした。それでも、一つひとつの取引が職員さんの働きの結果なので、そこを理解しないと説明もできないし、当然職員さんも興味を持てない。だから、「そこまで見るぞ。」って宣言して、実行しました。
まずは、会計システムを使って職員さんに入出金の入力をしてもらうところからスタートして、そこから月次の結果を翌月中にどうやって仕上げ、職員さんたちに説明するところまでもっていくか、経理担当の職員さんと斎藤さんと一緒に試行錯誤しながら、一生懸命取り組み、徐々にできるようになっていきました。
職員たちの大変化
斎藤:説明の場として、課長以上が集まって月次決算を共有する「月次報告会」を野田さんに進行してもらうようにもなりました。私は経営者なので、どうしても説明に想いが入っちゃうんですよね。そうすると、職員たちにとっては耳障りな言葉が出ちゃう。だから、中立的でクールな立場で説明してくれる人が必要だと思ったんです。
月次報告会では、野田さんがわざとみんなに「この数字は何ですか?」って質問してくれるんです。そうすると、先月のことなので答えられる。数字と自分たちの働きが無意識のうちにつながるし、担当事業以外のことも、「あそこの事業所はこんなものを買ったんだ。こんなことをやったんだ。」ってわかるようになるので、他の事業所の情報も頭の中にインプットされ法人全体が見えてくる。会計システムに職員が入力しているデータを月次報告会というステージに作り上げて、野田さんが上手に活きたものにしてくれてるなと感心しています。

野田:もちろん初めから上手くはいかなくて、9年前スタートした時は、職員さんたちはご自分の事業所のパートを聞き終わるとすぐに帰ってしまわれていたんです。それがだんだんと、同じ種類の事業をやっている事業所とか、場所が近い事業所とか、関係のある他事業所を見るためにちょっと残ってくれるようになってきて。今では、全員が最後まで参加していただけるようになりました。
あとは、斎藤さんからお願いされた「楽しい」会議にするために、心がけてきたことがあります。それは、事業所が赤字になったときにその原因を問い詰めるのではなく、解決策を共有できるような質問をすること。その結果、担当している事業所の職員さんたちだけではなく、周りの職員さんたちもアイディアを出して、助け合えるような関係が自然とできてきたんです。

斎藤:最近はどうも、報告会以外のところで職員同士が話をしているよう。その結果、「やってみたいこと」が次の報告会の話題に出てくるようになって、本当に嬉しいことだと思いましたね。
例えば、介護保険サービスの報酬単価が改定となって収入が落ちるのがわかる。その時に、職員数やサービスを減らさないようにするにはどうしたらいいかっていうことを職員たちが自ら考えてくれる。ありがたいし、すごいなって思うんです。

野田:これだけ大きな組織になると、経営者の方が「ヒト」「モノ」「カネ」の問題を全部自分でなんとかするのは、正直大変ですよね。なので、斎藤さんが信頼する職員さんたちが、色々な問題や課題を自分事のように考えて動いてくれるようになると、相当強い組織になると思います。
「クールなまなざし」の必要性
斎藤:野田さんには色々なことをお願いしています。例えば、「カネ」の問題だったら、さっきの「月次報告会」とか、毎月の給与計算とか。「モノ」の問題だったら、施設整備に係る外部機関とのやりとりのお手伝いとか。中でもありがたかったのは、翔の会ではもともと利用者さんがお菓子を作っているのだけど、その製造を委託してくださる取引先の方を見つけて、結びつけてくれたこと。

野田:福祉関係のお客様が多いことを私の周りの色々な方が知っているので、「紹介してもらえないか」という相談が多いんですよ。お菓子の件も、そんな相談がきっかけでした。私自身のつながりも活かして、きちんと信頼できる人をご紹介させていただくようにしています。

斎藤:あとね、どこの会社も同じかもしれないけれど、やっぱり福祉は「ヒト」が大事じゃない。これからは、人材育成や労務管理についても一緒に考えていってほしいと思っています。さっきの「月次報告会」の話と同じように、私ではどうしても想いが入りすぎてしまうんですよね。だから「ヒト」のこともしっかりクールに見つめてくれる人がいて欲しいんです。

野田:「ヒト」が命だというのは、同感です。弊社の中の話になってしまうのですが、それぞれ専門分野の強みがありつつ、想いを共有してくれて、本当に素敵な社員なんです、みんな。だからはたらき続けられるような取り組みをしていかなきゃ。私も斎藤さんのように想いが強くて、押し付けになっちゃったりすることもあるので気をつけます。
「福祉」に寄り添って
斎藤:これからの福祉にとって、経営とかマネジメントというものはすごく大事だと思います。だけど、私たちって「福祉屋さん」なのよ。ただ単に、障がいのある方やお年寄りの支援をしていたいと考えている事業者がすごく多いと思うんです。だから、そこで専門家の方がパートナーとして力を貸してくれたら、福祉はとても強いものになっていくと思うんです。
そのためには、コンサルティング会社の方には「福祉」を十分理解してもらわないと困るんですよ。私たちは利用者さんを単なる「お客さん」としては捉えられないから、一般企業
の理屈では成り立たないことがあるの。そういう意味でも、湘南ビジネスマネジメントさんには期待しちゃうんだけど。

野田:ありがとうございます。本当にそのとおりで、福祉を志している方に「売上をもっと上げなきゃだめじゃないですか。」とか「人件費を削ったらいいんじゃないですか。」とか、一般企業向けのコメントを言ってしまったら、多分聞きたくなくなっちゃいますよね。だから私たちは、表面的になってしまうかもしれないけれど「福祉」を理解していないといけないんです。翔の会の職員さんたちがどういう想いで仕事をしているのかを知ってお手伝いをしないと、ふとした時に発言に出てしまう。

斎藤:だから、給与計算などでサポートをしてくれることになる湘南ビジネスマネジメントの社員さんには、まず「障がいのある方を受け入れられるか?」と、確認させてもらいます。翔の会の総務室は障がいのある利用者さんに自由に出入りしてもらえるようにしているので、それができないと難しい。そうしたら、みんな温かく受け入れてくれましたね。

野田:弊社の社員は、みんな翔の会さんで絵を描いたことがあるはずです。絵が大好きな利用者さんが遊びにいらっしゃるので。

斎藤:それがとても大切なことなんです。安心して一緒に歩んでいけるなって感じています。
ゼロから一緒に、これからも
斎藤:もし湘南ビジネスマネジメントさんに歴史があって、事業がしっかり決まっている会社だったら、パートナーにしていなかったと思います。ゼロから一緒に考えられるからいいものができているんじゃないかな。

野田:一通、私のPCの中で、ずっと大切にすぐ見られるところに保管してある斎藤さんからのメールがあるんです。それは、「翔の会でこういうサービスを作ることができれば、他の福祉関係のお客さんも喜ぶわよ。」っていう、斬新な内容のもの。それらのサービスを実現するために、手探りでずっとやってきて、ついに少しずつ他のお客様にもご提供できるようになってきました。
こんな感じで、私たちは翔の会さんに育てていただいているので、それを「正直に」「素直に」「謙虚に」受け入れることが、一番大切なことだと思っています。

斎藤:そんな、私には経営の力が無くてできないだけですよ。一緒に作ってくれて、歩んでくれて、助かっています。職員もよろこんでいます。これからも本当に、よろしくね。

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